by 大谷行政書士事務所
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医療法人は医療法により設立が認められた特別法人です。医療法では医療法人の基本形を「社団」又は「財団」と定めており、株式会社などの営利組織による医業経営は認められていません。これらの社団又は財団が

  • 病院
  • 医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所
  • 介護老人保健施設


を開設しようとする場合、都道府県知事(複数の都道府県にまたがって病院・診療所を開設する場合は厚生労働大臣)の認可を受けることで医療法人を設立することができます。

昭和25年8月2日付の厚生省事務次官通知によりますと、医療法人制度の趣旨は、医療事業の経営主体が医業の非営利性を損なうことなく法人格を取得する道を開くことにより、
 

  1. 資金の集積を容易にする
  2. 医療機関の経営に永続性を付与し、もって私人による医療機関の経営困難を緩和する


ことにあるとされています。この制度で医療機関が医療法人になることで、

①高度医療機器の導入が容易になり、医療の高度化が図れる
②地域医療の供給が安定する

という効果が期待されています。

医療法人社団

 医療法人社団は、病院又は診療所等を開設することを目的とした人の集合体です。複数の人間から現金、不動産、備品等の出資を受け設立されるものです。この出資した人のことを「社員」といいます。この社員という言葉は、通常よく使われるような会社の従業員などとしての意味ではなく、株式会社の株主のようなものになります。

さて、従来医療法人社団は、出資者がその出資持分に応じて払戻請求の権利を保有する形態の「持分の定めのある社団」と「持分の定めのない社団」に区分されてきました。「持分の定めのある社団」とは、社員が退社や法人解散時に、出資持分に応じた払戻しの請求又は残余財産の分配を受けることができるとされている社団のことです。しかし、一般的に医療法人の資産の多くが不動産や医療機器などの固定資産であるため、現金でもって払い戻すことが困難で、最悪の場合その医療機関の経営が立ち行かなくなるおそれがありました。そのため、平成19年4月1日の改正医療法施行以降新たに設立される医療法人はすべて「持分の定めのない社団」に限定されています。

なお、社員になるためには必ず現金、不動産、備品などを出資しなければならないわけではなく、全く出資しない人でも社員になることはできます。その逆で出資していても社員にならないということもできます。

医療法人財団

 社団が「人」の集まりであるのに対し、財団は「財産」が法人の基盤になっています。医療法人財団を設立する場合、個人や法人が設立に必要な資産を設立する医療法人に寄附又は譲渡することになります。これは無償であることが必要です。したがって、財産を寄附した人は持分を持ちません。


では次に医療法人を設立することで得られるメリットをご紹介します。
メリットがある一方でデメリットもありますので、両方ご紹介します。

医療法人設立のメリットとデメリット
メ リ ッ ト  デ メ リ ッ ト
分院開設が可能になる 利益剰余金の配当ができなくなる
老人保健施設、訪問看護ステーションなど介護・福祉分野に参入できる 交際費の損金算入が制限される
節税できる
①累進課税の個人病院と比べ、税率が一定
②給与所得控除による個人所得税の軽減
③家族への給与支払いで所得分配による所得税の軽減
設立費用がかかる
生命保険料などを全額損金算入できる 事務手続きが増える(決算終了報告、役員再任登記等)
院長及び配偶者に退職金を支給できる 社会保険への強制加入で福利厚生費の増加
赤字を最大7年間繰越控除できる 会計が複雑になる
事業承継手続きがしやすい 赤字でも住民税の均等割分(7万円)の納税義務
自由診療の消費税が2年間課税されない 都道府県による立ち入り調査が入る
社会的信用がアップする 小規模企業共済を脱退しなければならない
金融機関からの融資が受けやすくなる  
社会保険診療報酬の源泉徴収がなくなる  

医療法人の基本形は社団又は財団だということは上の項でお伝えしましたが、その医療法人にもいろいろな種類がありますので、この項ではそれについてご紹介します。

医療法人の種類
医療法人の種類 特                         徴
一人医師医療法人 常勤の医師が1人または2人の診療所を経営する医療法人のこと。
類型としては持分の定めのある社団に該当します。その設立認可手続は一般的な医療法人よりも若干簡素化されています。
特定医療法人 その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていると、国税庁長官の承認を受けた医療法人で、租税特別措置法第67条の2に定める要件に基づき、公正かつ適正な運営が行われることが求められている法人のこと。これら厳しい条件の代わりに、法人税率は22%と低くなっています(通常は30%)し、出資持分に対する相続税は課税されません。
設立要件など詳細については厚生労働省告示にあります。
出資額限度法人 出資持分の定めのある社団医療法人であって、その定款において、社員の退社時における出資持分払戻請求権や法人解散時における残余財産分配請求権の法人の財産に及ぶ範囲について、払込出資額を限度とすることを定款上で明らかにした法人のこと。
医療法人設立時に1,000万円出資した社員が退社する時点で、医療法人の資産価値が設立時の10倍になっていたとしても、返還される金額は1,000万円が限度となるのです。
基金拠出型法人 平成19年の改正医療法施行以降、持分の定めのない社団医療法人は選択により「基金」制度を採用することが可能になりました(医療法施行規則第30条の37、38)。この基金とは、持分の定めのない社団医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、その拠出者に対して、定款の定めるところに従い返還義務を負う 法人を基金拠出型法人といいます。
基金制度は、剰余金の分配を目的としないという医療法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原始となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るという趣旨で設けられたもので、一般の会社でいうところの社債に似ているといえますが、利息はつきません。
社会医療法人 社会医療法人は非営利性に加え、公益性の高さが要求される医療法人で、地域の医療計画に沿って救急医療等確保事業を行うため地域医療の中核を担うことになります。社会医療法人では基金制度を採用することはできませんが、社員総会の決議又は寄附行為への記載により社会医療法人債の発行、募集が可能です(医療法第54条の2〜7)
一人医師医療法人の設立要件

  人的要件

  1. 法人の取締役に相当する理事は原則として理事長を含め3名以上必要となります。そのうち1人が理事長となりますが、医療法人である以上、原則として理事長は医師に限られます。(平成10年4月より、過去5年間にわたり経営が安定的に行なわれているなど一定の条件を満たしている場合には、既存の医療法人において、理事長が医師でなければならないという要件が緩和されています。)
  2. 法人の監査役に相当する監事を1名以上おかなければなりません。なお、監事はその医療法人の理事又は職員以外の者でなければならないことになっています。
  3. 出資者である社員は一人につき1議決権を持ちますので、社員総会の決議の関係上、社員は理事を含み3名以上必要となります。


 物的要件
一人医師医療法人は医療を提供することを目的として設立されますので、実体のないペーパーカンパニーでは医療法人として認可されません。そこで医療を提供するのに以下のような物的要件を満たしている必要があります。

  1. 資産と負債・出資金のバランスが保たれており、自己資本比率が20%以上であること。ただし、規模の大きい病院などの医療法人にのみこの規定が適用され、診療所などの小規模な医療法人は原則として自己資本比率は問われません。
  2. 設立時に預貯金など換金性の高い資産で、2ヶ月以上の運転資金を有していること。なお診療報酬請求の未収入金も運転資金の中に算入することができます。
  3. 病医院の土地、建物については、法人が所有することが望ましいとされていますが、賃貸借契約が10年以上である場合には賃借でも差し支えありません。


一人医師医療法人の場合、医師である理事長と妻、父母の4名で理事及び監事が構成されている場合が多く見られます。また診療所などの小規模な医療機関の場合には自己資本比率も問題とされませんので、設立は比較的容易にできます。ただし、各都道府県によって手続などの取扱いが異なる場合もありますので、ご注意下さい。


なお、一人医師医療法人は医療を提供する為の診療所などの運営を目的として設立される法人です。しかし、定款に定めることにより、その本来業務に支障を来たさない範囲で、訪問介護ステーションやケアハウスなど介護保険の対象となる業務を行なうことができます。今後、介護保険に関する業務が拡大することにともない、医療法人でなければ対応できない業務も数多く出てくると思われます。


→医療法人の役員

医療法の規定では、「医療法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければならない。」と規定されています。
ただし、この規定の例外として、「理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、1人または2人の理事を置くをもって足りる。」とされています。この例外が認可されるのは、「医師または歯科医師が常時1人または2人勤務する診療所を1ヶ所のみ開設する場合」のみとされており、その場合でも理事は2人以上置くことが望ましいとされています。

なお、社会医療法人については、「役員のうちには、各役員について、その役員、その配偶者及び3親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が役員の総数の3分の1を超えて含まれることがないこと。」という同族規制が設けられています。


理事は法人の常務を処理することになりますから自然人であることが前提です。したがって株式会社などの法人は理事に就任することはできず、他の医療法人が別の医療法人の理事になるということもできません。理事や監事など役員には次のような欠格事由があります。

  • 成年被後見人または被保佐人
  • 医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなるまでの者

役員となる者は、上記欠格事由にその選任時において該当していないことは当然で、在任期間中においても該当してはいけません。また、医療法人と関係のある特定の営利法人の役員が理事長に就任したり、役員として参画することは、医療法人の非営利性の観点から適当ではないとされています。

役員に関する用語説明
理事 理事は、理事会という機関で医療法人の意思決定に基づく事実上の職務執行の権限を持つこととなり、医療法人の常務を処理することとなります。したがって、実際に法人運営に参画できない者が名目的に選任されていることは適当ではないとされています。
理事長 医療法人では、理事のうち1人について、理事長とし、定款または寄附行為の定めるところにより、医師または歯科医師である理事のうちから選出することとされています。例外として医師または歯科医師以外の理事が理事長に就任することもできますが、その場合は都道府県知事の認可を受けなければなりません。
監事 監事の職務は次のとおりです
  • 医療法人の職務を監査すること
  • 医療法人の財産の状況を監査すること
  • 医療法人の業務または財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3ヶ月以内に社員総会または理事に提出すること
  • 監査の結果、医療法人の業務または財産に関し不正の行為または法令もしくは定款もしくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事または社員総会もしくは評議員会に報告すること
  • 社団たる医療法人の監事にあっては、不正行為等の報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること
  • 財団たる医療法人の監事にあっては、不正行為等の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること
  • 医療法人の業務または財産の状況について、理事に対して意見を述べること
監事は他の医療法人の理事や評議員または法人の職員を兼任することはできません。また、他の役員と親族等の特殊な関係がある者ではないことが必要です。

さらに監事としての資質として、税理士または公認会計士が最適とされている都道府県があったり、最低限の技能(簿記2級以上)があれば足りるという都道府県もあります。いずれにせよ事前に担当課に確認することが必要です。
理事会 理事の集まりによる機関。社団医療法人、財団医療法人ともに置かれる必須機関です。

社団→社員総会で決議された法人の意思決定を円滑に進める職務執行機関
財団→事実上の意思決定機関かつ職務執行のための機関
評議員、評議員会 評議員会は、財団医療法人の内部管理体制の明確化を通じた効率的な医業経営の推進を図る目的で置かれる必須機関です。

評議員会のメンバーである評議員には、
  • 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  • 病院、診療所または介護老人保健施設の経営に関して識見を有する者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  • 医療を受ける者のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者
  • 上記の他、寄附行為の定めるところにより選任された者
がなれますが、その財団医療法人の役員との兼任はできません。

財団の理事長は一定の事項については、評議員会の意見を聴かなければならず、また寄附行為の中に一定の事項は評議員会の議決を要するものと定めることもできます。
役員の選任 社団→社員総会において選任
財団→評議員会において選任
役員の任期 2年を超えることができず、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間です、なお再任は自由です。
役員の補充 理事または監事のうち、その定数の5分の1を超える者が欠けたときは、1月以内に補充しなければなりません。しかし、役員はその法人の常務を処理する者ですので、1人でも欠けると業務に支障が出ることが予想されますので、速やかな補充が望ましいとされています。

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